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オフロードバイクと北海道の楽しい林道♪
by kawasaki_ninjya
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とある、友人の話。
もうずいぶん前のことだ。

「Ninjyaさん~どうしたらいいすかね・・」

彼は不意に相談してきた。





彼の父親に関することだった。

彼は、彼が小学生の頃、両親が離婚している。

離婚の原因というのが、父親のギャンブルによる借金だったそうだ。

それから、母の細腕で兄弟2人を育ててもらったそうだ。

彼は大学も行かせて貰い、今は立派に社会人として生きている。

「前にも言っただろうが・・・」と私は話を始めた。

「お前の心一つだよ。 会う事でお前の心のモヤモヤが晴れるのなら

会ってやればいい」

彼は迷っていた。

彼の父親が、急に会いたいと言ってきて、かなり狼狽している様子だった。

長い間、音信不通だった父親が「会いたい」と言ってきていることで、

彼は非常に悩んでいるのだった。

さらに、私は話した。

「お前、、父親と会いたいのか?」

彼はしばらく考えていたが、やがてぼそっといった

「解らないんです・・・・」

そして、そのまま黙ってしまった。

沈黙を破るように私は話をした。

「会うことで、お前の心の中に在る物がすっきりして、前向きになれるのなら、

会ったほうがいい。 でもな、会うとしたら、それなりの覚悟もしておいたほうがいい」

「覚悟・・?ですか?」

「ああ、何故今になって急に会いたいといってるのか、ただ、謝りたいのか、その意図が

わからんからな・・・」

何故かその時、私はあまり良い感じがしなかった。

嫌な予感・・とでもいうのだろうか。

漠然とした嫌な感じを受けていたのである。

しかし、私は彼の父親のことなど全く知る由も無く、ただの想像でしか無かった。

ただ、なんとなく「会わないほうがいいんじゃないか?」という思いがしたのだった。

もちろん、彼の20数年の間に宿ってきた想いも私には解らない。

こういう問題は他人がどうこう言える問題じゃないのだ。

「答えはもうきっと彼の中にあるんだろうな・・」とも思っていた。

「その答えに自信がないから、誰かに後押ししてもらいたい、

きっかけを与えて欲しい・・」と思っているんだろうと私は感じた。

そこで私は彼に話をした。

「会えよ。会ってみればいいじゃないか。お前だって、もう立派な中年だろう?

多少のことじゃガタつかないだろう?会って腹が立ったら顔の一つも殴って

やればいい。

お前だって本当は会いたいと思ってるんだろう?だから、俺なんかに相談したんだろう?」

「それに、会わないでグジグジ悩んでいたってしょうがないじゃん。会ってスッキリさせたら

どうだ?」

「・・・・・・」

彼は黙ったまま、考え込んでしまった。

私も黙ったまま、たばこに火をつけ、ゆっくりと深く吸い込んだ。

そのたばこ、一本を吸いきらないうちに彼はゆっくりと話しだした。

「ninjyaさん・・・やっぱり、親父と会ってみようと思います。

会ってすっきりするかどうかは、解らないですけど・・・

それでも、俺にとってはたった一人の親父だし・・」

彼の言葉を聞いて、私は少なからずショックを受けた。

なぜなら、長年に亘って自分を棄てたという思いがあるだろうに、

それでも「たった一人の親父だから・・」というその思いにショックを受けたのである。

他人から見れば、「そんな酷い親父はぶん殴ってやればいい!」と思うのだが、

彼にとっては、「それでも父親」で在るのだ。


「そうか・・・会ってみるか・・・うん、お前がそう思うのなら会えばいいだろう。

 ところでお袋さんはこの事知ってるのか?」

「いえ・・・・・・・・母ちゃんは知らないし、話すつもりもないんです」

彼なりに、母親を気遣っての考えだろう。

「そうか・・・そうだな。今はまだ、話さないほうがいいかもしれんな
 
 お母さんにとっては、心穏かにいられないことかもしれんしな」

「ただ・・・さっきも言ったけど、会うなら覚悟しておけよ・・どういう意図か

 解らんからな・・お前にとって辛い出来事になるかもしれんしな」

私はやはり、漠然とした「嫌な予感」がぬぐいきれないままだった。

「大丈夫ですよ。俺だってもう立派な中年ですしね(笑)
 
 ただ俺も中年になったから、親父と色々と話をしてみたいんですよ」

「ま、顔みてムカついたら、一発殴ってやりますよ!(笑)」

彼は、あえて軽快な口調で話をしていた。

私はそんな彼を見ながら「本当に良い結果に終わってくれれば・・」と願わずには

いられなかった。

しかし、この願いは、むなしく引き裂かれることとなってしまった・・・・


<続く>
by kawasaki_ninjya | 2007-05-23 10:25 | まじめなお話
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